ペットも家族の一員として囚われることが多くなった中、愛犬や愛猫と車に乗ってドライブや近場のドッグランへお出かけをする方も多いですよね。
最近は、わんちゃんだけでなく、猫ちゃんの散歩動画やインスタグラムも人気ですし、うちの子も!!って方も多いのではないでしょうか。
途中で、ペットの体調がおかしくなったり、車が事故起こしたら、せっかくの旅行も台無しですよね。
人の中にも車酔いしやすいなど、人それぞれで違ったりします。もちろん、わんちゃんや猫ちゃんも車酔いは個体差があります。車酔いについては、こちらをご覧ください。
また、ドライブ中の車の事故で、わんちゃんが死亡する。という例も少なくありません。
万が一に備えて、事前に対策を取っておきましょう。
これって犯罪?抑えときたい日本の法律
日本における道路交通法では、下記の通り記載されています。
道路交通法 第五十五条 第2項
車両の運転者は、運転者の視野若しくはハンドルその他の装置の操作を妨げ、後写鏡の効用を失わせ、車両の安定を害し、又は外部から当該車両の方向指示器、車両の番号標、制動灯、尾灯若しくは後部反射器を確認することができないこととなるような乗車をさせ、又は積載をして車両を運転してはならない。
引用元:https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=335AC0000000105#521
要するに、運転者の視野や運転の邪魔するようなことにしてはならないですよー!ってことです。
これをペットの例で当てはまると、下記の3つがあげられます。
- ペットが移動することで、運転者の前方を遮ること
- ペットがいることによって、ハンドル操作やブレーキなどの運転操作に支障をきたすこと
- 運転中に運転者の集中を妨げてしまうこと
実際に、愛犬を膝の上に乗せて運転していた男性を道路交通法違反として現行犯逮捕されたニュースがあります。
この例では、警察官より停止命令が出されたにもかかわらず応じずに逃亡したため逮捕まで至ったようです。もしも、違反とされれば、反則金9000円と違反点数2点が加算されます。なお、反則金を支払わなかった場合は刑事罰の対象となり、3か月以下の懲役または5万円以下の罰金が科せられます。
また、このほかにも道路交通法には下記の通り記載されています。
道路交通法第4章第1節第70条
車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。
引用元:https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=335AC0000000105#521
要するに、他の車両や他人に対し、危害を及ぼすような速度や運転はダメですよ。ってことです。
これをペットに当てはめると、みなさんが憧れるあのシーンです。
- 犬が窓から顔を出して風を感じている光景
実際に、2020年に運転席の窓から顔を出す犬を景観が発見し、停車指示を出したものの逃亡しようとしたために、運転手が逮捕された。という事件例もあります。
また、過去に窓から犬が飛び出し後続車に轢かれ死亡した例が報告されています。ほかにも飛んできたゴミにぶつかってケガをする可能性もあります。愛犬の安全のためにも、外に顔を出させて運転するということはやめましょう。
ペットを車に乗せる際に用意するもの・注意点
さて、法律などについて理解いただけたら、続いては事前に準備すべきものです。
必要なものはざっと下記の通りです。
- 水
- エアコンや携帯扇風機
- リード
- ハーネスやクレートなど車に固定するもの
- 迷子札・マイクロチップ
- ダニよけ薬
- 防水シート、タオル、ペーパー
- うんち袋
車に乗せる前の注意点
- 食事は、ドライブの2〜3時間前に済ませておく(万が一、車の中で吐いた場合に掃除が楽です。)
- おしっこやうんちは事前に済ませておく
- 30分~1時間ごとに、休憩が取れるようにドライブルートを設定しておく
- ノミダニやフィラリアなどの予防薬について効果が切れていないか確認
(もしくは、予防薬を前日には飲んでおきましょう) - 車に乗せる前は少し運動させたり、遊んであげることで、車の中で寝れるような状態にしとくのがベスト
うちの子が車酔いするのか不安!って方は、まずは近くの公園などに行ってみましょう。
5~10分程度で吐かなかったら、次は30分程度のドライブに連れて行ってみる。それがOKなら、さらに長くやってみる。などの徐々に慣らしていくのが効果的です。
ペットの安全に配慮した乗車方法
アメリカの民間団体「Center for pet safety(CPS):ペット安全センター」は交通事故を想定したクラッシュテストを行っています。
こちらのクラッシュテストは、英語で聞き取れない方もいるかとも思いますが、映像を見ればあらゆる方法で危険だということが分かりますよね。
獣医師としておすすめする安全に配慮したペットの乗車方法は、下記の2通りです。
おとしくできるわんちゃん
ハーネス(車用)
最も安全性が高いとされている方法です。
ハーネスにシートベルトを通して固定させ、通常のハーネスよりもお腹周りが大きめのパッドで作られているため、急発進・急ブレーキにも対応できるようになっています。
普通のハーネスでもいいのでは?と考える方も多いかもしれませんが、普通のハーネスでは腹部が保護されずに、事故起こした場合にハーネス部と腹部が違う方向に引っ張られる可能性があり、危険です。
また、小型犬や元気なわんちゃんや猫ちゃんは、自分で首を締めたりする可能性が出てくるので向いていません。
CPS認証のハーネスは、こちらです。
- Sleepypod Carriers
- Rocketeer Pack
猫ちゃんや元気なわんちゃん
クレート
多くの飼い主さんが利用している方法です。
注意点としては、クレートの置き方や固定方法によって危険性が高まります。
クレートの強度によっては、衝撃時にクレートが破壊され、ペットが飛び出してしまう場合もあります。
また、夏場はクレート内が高温になり危険です。クレート内の温度が適切に保たれているか適宜確認してください。温度管理ができないことからも、ブルドッグやパグなどの短頭種は向いていません。
CPS認証のクレートは、こちらです。
- キャリーバッグ GEN7PETS コミュッターペットキャリア&カーシートブラック ドライブケージ
- Gunner Kennel G1
ハーネスタイプを使用される場合は、一緒に車用シートを引いておくといいでしょう。
日本で買える商品はないの?
上記の中で、CPS認証されたハーネスやクレートは、ほとんどが日本で売っていません。
下記の商品は、米国 (FMVSS 213) ヨーロッパ (ECE 規制16) オーストラリア(ADR42/04)の安全性試験で規格をクリアした商品です。
しかしながら、日本で多い小型犬や猫ちゃんにはおすすめできないので、シートベルトでしっかりと固定できるクレートのようなものであれば良いかと思います。
下記の商品は、空路を使った旅行にも使えるタイプのクレートです。ドライブだけでなく、旅行好きという方にはおすすめです。
【最後に】
車での移動は、わんちゃんや猫ちゃんによっては体の負担になるものです。少しずつ慣れさせて、無理のないドライブを心がけましょう。
また、万が一、ドッグランやキャンプ場などで他のわんちゃんや飼い主さんと交流した際に、自身が飼っているわんちゃんや猫ちゃんが噛み付いたり、相手を怪我させた場合は、損害賠償対象となります。
ペット保険や車の任意保険、飼い主さんが所持しているクレジットカードに付帯している個別損害賠償の補償を確認しておくこともおすすめします。