獣医師がペットを飼うことをお勧めしない4つの理由

Dr.わたはる

こんにちは、獣医師のわたはる(@vet_wataharu)です。
獣医師として動物病院で働きながら、事業を起こしたり、NPO法人のお手伝いしてます!

今回は、私が”獣医師なのにペットを飼うことをお勧めしない”理由をご紹介します。

ペットにかかる費用は、思ったよりも高額

アニコム損害保険株式会社によるペットにかかる費用は、年間で犬30万円強・猫16万円強であることが発表されています。(2019年度調べ)
※この調べは、ペット保険に加入者調べによるものであり、そもそもペットの健康や生活費に関心の高い飼い主が多いため、平均値は多少高くなっていると考えられます。

いずれにせよ、犬の犬種や体の大きさなどの分類や寿命の違いを計算に入れたとしても生涯で200万円近くは必要となるでしょう。

さらに、そこにプラスして、ペットそもそもを飼うための費用や検診などの料金を合わせていくと、300万円は優に必要な経費であると考えられます。
近年はペットの価格も100万以上することもあり、最近はローンを組んで生体を購入する人も増えています。

また、ペットの購入を目的としたローン商品を取り扱う銀行も出てきており、それを利用することが一般的になりつつあります。
※2020年10月に東洋経済から、ペット購入でローンを組んだことにより、経済破綻をした方のニュースが発表されました。(「36回ローンで購入された猫」の悲しすぎる結末

このような出来事は、私たち人間のマネーリテラシーが向上されない限りは、何度も繰り返されるのではないでしょうか。

住居の選択など生活スタイルの変化に対応しにくい

「ペット可」物件の数は㈱ネクストの不動産・住宅情報サイト「HOME’S」に掲載されている東京23区内の賃貸物件(2016年5月27日時点)は11万6,082件でした。
しかしながら、ペット可物件は1万3,848件と全物件の12%程度となっています。(マンション、アパートに限る)

また、東京23区内のペット 可物件が多いのは、3,356物件中834件(24.9%)の港区です。
港区といえば、平均家賃相場は12.6万(2020年10月時点)と東京23区内トップに位置するエリアです。
ペット可以外の住居条件の間取りや家賃等を考慮すると、選べる物件はさらに少なくなることが考えられます。

人は、結婚や転職と住居が変わるライフイベントはたくさんあります。その度に、数少ないペット可物件を探すのも大変です。

※厚生労働省による「国民生活基礎調査」によると、ペット飼育家庭の74%以上は、持ち家(一戸建て)が占めています。
持ち家そのものが、生活スタイルの変化に応じにくい要件になります。

生活スタイルの変化は、住居の変化等だけではありません。
結婚する場合は配偶者、出産する場合は子ども、その他同居人と、ペットアレルギーを持っている可能性もあります。
配偶者や同居人は選択することある程度は可能ですが、子どもは生まれる前からペットアレルギーを持っているかどうかは予測できません。(もしかしたら親の遺伝子情報で確率は判明できるのかも。)
そもそも、ペットアレルギーになる可能性があるから、子どもは作らない。ということにはならないですよね。

そもそも思い通りにならないことばかり

ペットを飼ってからの障害は、お金や生活スタイルだけではありません。
犬や猫を始めとし、ペットには性格があります


例えば、人気犬種の上位にもランクインする「柴犬」は、動物病院内では獣医師泣かせの犬種とも言われています。
柴犬は警戒心が高いため、幼少期に社会化させるようにしなければ、他人や他の犬へ噛み付いたり、攻撃性が高くなりやすい犬種です。

他人をペットが傷つけた場合の損害賠償は、100万円近くに登ることもあります。噛まれた人の治療費は全額飼い主負担であることはもちろんのこと、告訴された場合は、刑事罰となり、時には愛犬の殺処分を請求されることもあります。

また、生活スタイルやしつけを曖昧にしていれば、事故やけがによって、せっかく迎えた命も早々に亡くすことにつながります。

ペットを飼っても幸福度は上がらない

海外では様々な研究でペットとの共生効果が発表されています。しかしながら、これらには飼い主の収入や生活を考慮されておらず、ペットを飼うからこそ効果があるとは言い難いものです。
一方で、厚生労働省からは収入や雇用から、経済状況によって健康格差が生まれている実態が明らかとされました。

ペットを飼うことによる幸福度や健康効果には、ある一定以上の収入や生活スタイルが土台にあることは、抜かしてはいけない条件です。

最後に:獣医師として、飼い主のライフコーディネートをしていく

前述で、様々なペットを飼うことをオススメしない理由を上げてきましたが、ペットは私たちの生活に彩りをもたらし、ともに生活を送ることで幸福ホルモンの分泌が促進されることは間違いありません。
私は「ペットを飼うことをオススメしない獣医師」=「本当に人の生活を豊かにするためにペットを飼って欲しい」と活動しています。


ペットを飼うことを相談された場合は、まずは飼い主の収入、生活スタイル、家族構成などをライフプランを作成した上で、飼い主さんのより良い豊な生活を応援していきたい。そんな信念を持って活動しています。

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運営者

犬猫の往診専門動物病院を運営しながら、フリーランス獣医師としても診療にあたる。一方で、企業や事業のサポートやコラム作成等の事業も展開。時間的にも経済的にも自由に働く獣医師として活動中。

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